読み切りエッセイ

PPのある生活~ちょっといい未来~

ジリジリ・・・ケータイの目覚ましに起こされて、渋々ベッドから起き上がる。今日は土曜日なのに、課長命令で会社に出勤しないと。なんだか頭が痛い。そうだ、昨日は得意先の接待でちょっと飲みすぎてしまったんだった。こんな日に限って仕事とは。

どうにか家を出て、駅までの通り沿いにあるファーストフード店に寄る。入社して3年、ほぼ毎朝お世話になっている行きつけのお店だ。レジに立ってトレイを受け取ると、いつものメニューにオレンジジュースが加わっていた。(※1)こういうとこ、おせっかいだなあ。と思いつつも、今日はありがたく受け取ることにする。

電車の中はいつもより空いていて、朝日が車内の隅々まで入ってきている。向かいに座っているのはかわいいOLちゃん。こんな子と合コンしてみたいなあ。そうだ、ちょっと合コンゲーム(※2)でもしてみるか、とケータイを取り出す。げ!、ネクタイのセンス0か。なになに、あとは前髪をもう少し切りましょうって、もー、うるさいな。確かにもう二ヶ月も美容院に行ってないかも。向かいのOLちゃんも俺を見て同じことやっていたりしないかな。

会社に着くと、同期で同じチームのYが何やらテレビゲームをしながら騒いでいる。のぞいてみると、結婚シミュレーション(※3)をしているようだ。結婚は今の生活だと10年以上先になるって結果が出て落ち込んでいる。そんなゲームはいいから仕事を、ちょっとはやってくれよ。と思いつつも、自分も転職力試験ゲーム(※4)をやってみる。SPIの結果や今までの仕事で得たキャリアなどで総合的に判断してくれるから、きっと信頼できるんだろう。んーとどれどれ、うーん不動産業界か。営業きつそうだなあ。なんて真剣に考えてみたり。おっと俺も仕事しなきゃ。

上司もいなかったので、今日は5時に退社。あー今日も疲れたな。明日は休みだし、今夜は自宅で缶ビールでも飲みながらテレビでも見ようかな。そうだ、確かつまみがなかったからコンビニでも寄って帰るとするか。その時、ケータイがブルブルと震えた。なになに、4丁目のコンビニの店員は自分の好みのタイプ(※5)だって・・ホントかなあ。まあちょっと期待して回り道してみようかな。
確かにレジの子、童顔でかわいいなあ。それにしても30分もレジ待ちするなんて、この店員はどれだけ人気なんだろう。お金を払おうとすると、また、ケータイのアラームがなっている。そうだ、今月水道代払ってなかったんだっけ(※6)。ついでに払っとこう。

外に出ると、気持ちいい秋風ときれいな夕焼け。あー今週も頑張ったな。今夜はいい夜になりそうだ。

夕焼け

ーおわりー

■このストーリーで利用されるPPを基盤としたサービス例■

※1 PPに蓄積された行動履歴をファーストフード店の推薦システムが読み取り、飲みすぎた翌日なのでドリンクをオレンジジュースに変更した。

※2 携帯電話に搭載されているゲームを想定している。合コンゲームはPPから利用者の服の趣味や美容院での髪型の履歴を読み取り、合コンのシミュレーションができる。

※3 このゲームはPPから占い結果、趣味、仕事などの情報を読み取り、統計データと照らし合わせて結婚の時期をシミュレーションできる。

※4 このゲームはPPから、仕事経歴、年収、居住地域、資格などを読み取り、仕事の志向性モデルから、最適な転職先を推薦する自己診断プログラムである。

※5 PPより、利用者の今までの恋愛傾向や女性の好みのタイプから、近くにいる好みのタイプの異性を、利用者の同意を得た上で知らせてくれるシステム。

※6 PPより、公共料金の支払い状況を読み取り、水道代の支払い忘れや利用者の省エネ貢献度などを算出するシステム。

上記のサービス例は、将来、PPが普及した場合に想定されているサービスであり、実際のプロジェクト事業計画とは異なりますので、予めご了承ください。

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